If
"If you could go back to the sometime in the past, what would you do? "
もし誰かにそう聞かれたら、私は間違いなくこう答える。
"彼と過ごした10日間をもう一度やり直す"
今の現状に満足していない時、人は少なからず"あの時こうしていれば"と考える瞬間がある。あの時もっと真面目に勉強していれば、もっと良い会社に入れたかもしれない。あの時気持ちを伝えていれば、もしかしたらあの人と付き合えていたかもしれない。あの時あんな事を言わなければ、今でも友達でいられたかもしれない。
"あの時、こうしていれば..."
人は何かをした事よりも何もしなかった事の方が後悔するというが、そんなことはない。行動して失敗すればほぼ間違いなく行動した事を後悔し、そうしなければ起こっていたかもしれない別の展開を想像する。私はいつだってそっち側の人間だ。
以前、過去の出来事を悔やんでいた彼に言った事がある。
"We can restart our lives." (私たちは人生をやり直せるよ) と。
うん、そうだよねと返ってくると思っていたが、彼は意外な言葉を口にした。
"But I don't want to restart my life."
(でも僕は人生をやり直したくないよ)
春の次は夏が来るように、ヒヨコが卵から産まれてくるように、たんぽぽが綿毛になるように、同じように、まるでその言葉の続きが決まっているかのように、私が"Why?"と聞くのを待たずに彼は続けてこう言った。
"I might have never met you if it hadn't happened."
(もしそれが起こらなかったら、僕は君に出会えなかったかもしれないからね)
今振り返ってみると、私は彼との日常を大切にはしていなかった。 私にとってそれは当たり前の出来事で、特別なことでも何でもなかったからだ。
"Hi", "How was your day?", "What are you doing right now?", "I miss you"
今では、そんな些細な会話全てが愛おしい。当たり前のように過ごしていたありふれた日常の中には、たくさんの幸せが溢れていた。そして、私はそのことに全く気付いていなかった。
人は、失って初めてその大切さに気づく。
"何かを選ぶということは、それ以外の選択肢を捨てるということだよ"
人生は常に選択の連続だ。
私は、選択しなかった別の人生を歩んでいたらもっと良い人生を送れていたのではないか...とずっと思って生きてきた。もし人生をやり直せるなら、小学生に戻って真面目に勉強して、良い大学に入って就職して、それなりにカッコイイ男の人と結婚して子供を産んでそれなりに幸せな生活を送れたらいいな、と。
彼が私に言ったように、私は人生をやり直したくないとは思えない。
もし過去に戻れるなら、私は彼と過ごした10日間の1日目に戻りたい。そして、その時選択しなかった別の選択肢を選択したい。結果的に同じ結末になるかもしれないけど、私はそれを試したいと思う。そんな叶いもしないことを願っているほど私は今でも毎日後悔しているのだ。"あの時こうすれば良かった"と。
"But I don't want to restart my life. "
(でも僕は人生をやり直したくないよ)
"I might have never met you if it hadn't happened."
(もしそれが起こらなかったら、僕は君に出会えなかったかもしれないからね)
そんな事を言ってくれるのは、きっと後にも先にも彼以外いないだろう。
彼がくれたたくさんの言葉を忘れないように、私はここに記録を残す事にした。
もし1つだけ願いが叶うなら、彼が悔やんでいた過去の出来事をなかったことにしてあげてほしい。それで私たちが出会えなかったとしても、彼がそれを望んでいなくても、私はそれを望む。もしこの世で起こる全ての出来事が偶然ではなく必然なら、いつか違う形で出会えるかもしれないから。
"How are you today?"
"I really miss you, but other than that, I'm ok."